『また明日!』で終わる1日。「ららマジ」サービス終了のその先

ソーシャルゲームスマートフォン向けゲームというのは
たとえ良い作品だったとしても長く続くとは限らない運命を忘れた時に突きつけられるのが悲しいです。

キャラクターやストーリー、ゲーム性が良かったとしても
いかにユーザーに課金してもらうかの仕掛けを、やりすぎない程度にずっと続けないと
近い未来にそのゲームは終わってしまいます。悲しい。

「ららマジ」もその例外ではありませんでした。


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(C)WFS / (C)CloverWorks


「ららマジ」、正式名称は「ホニャららMAGIC♪」ですが
「ららマジ」が実質的に正式名称となっている「ららマジ」

東奏学園で様々な楽器を使う器楽部を中心とした物語で
主人公は調律師、チューナーとなりバラバラになってしまった部員であるヒロインに巣食うノイズを撃退し、
様々な要因に寄り添い、解決し、"調律"してあげることで救い、器楽部を元の姿に少しずつ戻していく物語。


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(C)WFS / (C)CloverWorks


バトルパートはフリックやタップなどで移動や攻撃をする横スクロール画面で
一定のゲージが貯まると編成したキャラごとにスキルを使うことも可能。


メインストーリーのみフルボイスで制作されており
「ららマジ」の素晴らしいところはこのメインストーリーに多く詰まっていると言えると思います。

攻略、つまり調律する部員/ヒロインごとに心に抱える悩みは違っていて
どれも少しは誰もが経験したことがあるような物が多く
それがありふれた悩みだけど深さや重さを生み出しています。

ストーリーを進めていくにつれてヒロインの心の奥底に近づいていき
ボスの存在に近づくに連れて盛り上がりを見せます。

それを彩るのがクオリティの高いBGMの数々。


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(C)WFS / (C)CloverWorks


どの音楽もとてつもなくクオリティが高くて
かっこいい曲から不思議な雰囲気の曲、少し演劇っぽい曲などそのバリエーションは幅広く
しかもこれまでに調律が完了したヒロイン…つまり攻略済みのヒロインが増えると
その調律済みヒロインの担当の楽器パートが次のストーリーのBGMに使用される楽器として増えているなど細かい仕掛けも

つまり第1章、第2章とゲームを進めるとBGMも豪華になっていくのです!

器楽部をテーマにする作品ならではの仕掛けです。


BGMに関する凄さはそれだけじゃないんです!

「ストーリー、バトル、バトル、ストーリー、バトル、ストーリー」のように
メインストーリー(イベント含む)は進行していくのですが盛り上がりを見せるクライマックスでは、
ストーリーで「いよいよボス戦だ!決着をつける!」という流れで格好いいBGMが流れると
そのままBGMはストップせずにバトルに突入出来る演出が大好きでした。

仕組みとしては単純ですが意外と採用しているゲームは少なく
他の作品ではストーリーを読み終わるとBGMも止まってしまうものが多いんです。



バトルパートに関しても、
スマートフォン向けゲームでは操作性が家庭用ゲーム機に比べるとどうしても劣ってしまうものですが
軽快かつ直感的な操作に加えて、難易度のバランスがちょうど良く、
そこまでのゲーマーじゃない私でも難しすぎず、逆に簡単過ぎず良いバランスだったと思います。

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(C)WFS / (C)CloverWorks


ゲームの外に目を向けると、
まずはサービス開始直前にキャストも出演するライブ配信特番がありました。

結城 菜々美役の水瀬いのりさんを始めとする
キャストが複数人出演されていてとても楽しかった思い出があります。

2017年には、その水瀬いのりさんに加えて、
草薙 百花役の徳井青空さんの2人をメインパーソナリティとするWEBラジオの配信が音泉にて開始しました。

WEBラジオといっても動画付きのラジオとなっており
全部で約14回の配信ではゲストも多く出演されて楽しいトークを届けてくれました。

番組内での変わったコーナーとしては、メインストーリー以外はフルボイスじゃない事を逆手に取って、
リスナーにはラジオを聴きながらゲームのストーリーを再生してもらい
それにラジオ内でアフレコをするといったものもありましたね。

他にもメインパーソナリティの2人は楽器の経験がほぼ無いのに対して、
何故かゲストに来たキャストの皆さんは何かしらの楽器の経験があるという事が発覚、
いつかキャスト全員で演奏なんて出来たら面白いね、なんて会話もあったように記憶しています。


イベントも数多く開催されており、
その中でも2018年には、ららマジの作品のモデルとなっている東大和市で二度もイベントを開催。

キャストも多く登壇して、限定グッズの販売も行われました。

それ以外にもポップアップストアのような形式で
作品のグッズの販売は定期的に長く行われ、そのたびに完売情報を目にしました。


公式グッズも様々なものが登場していますが
「ららマジ チューナーズノート」と題された設定資料集はとても人気で
2017年6月に発売された第1弾に続いて2018年には「ららマジ チューナーズノート2」が発売されています。

また評価の高い作品BGMについては
「ららマジ オリジナルサウンドトラック」として2018年10月に配信されています。

オープニング主題歌である「未来Symphony」と合わせて
是非とも「ららマジ」の世界を感じられるオリジナルサウンドトラックにも聴きき入って欲しいです。



キャラクターが可愛くて、ストーリーや音楽のクオリティも高く、グッズも人気の「ららマジ」

それでもユーザーに継続的に課金してもらう仕掛けとしては
今思うと弱かったのかもしれません。

メインのヒロイン数も31キャラと多かった事で部活らしい賑やかさはありましたが
全員の"調律"が終わるまでがどうしても長くなってしまのも惜しいところ

最近の他作品を見ていると、約1年で最初の区切りを迎えて
2年目の第2部スタートというのが分かりやすかったのでしょうか。

なので、約3年半サービスが続いたものの
まだ"調律"も道半ばというところでゲームが終わりを迎えたというのは非常に惜しい。

プロフィールを見ているだけでも気になる設定の子がいっぱいいたり、
メインストーリーを進めていくと少しずつ大きな謎の背景が見えそうになっていたり
まさに、これから!というところだっただけに、本当に、惜しい。

菜々美は最初に"調律"されましたが
推しキャラの1人である有栖川翼の"調律"が見られなかった事が悲しい…


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(C)WFS / (C)CloverWorks


でも、まだ希望はあります。

最後のその瞬間まで「ららマジ」に関する記事をアップしてくれたゲーム系ニュースサイトである「インサイド」さんにて
サービス終了日である6月3日に掲載されたインタビュー記事の最後にて
CloverWorksの蟹江さんによる気になるコメントが

『ららマジ』約3年半の振り返りとメインストーリー・シーズン3について―西村氏・蟹江氏インタビュー | インサイド

今回、華々しく送ってもらえたわけですが、この花火を最後にはしたくないですし、次につなげていきたいと本当に思っています。

せっかくこういう形で作り上げられてきた作品ですので、これで終わりということにするつもりはないです。
簡単な話ではないですし、少し形も変わるかも知れませんが、
彼女たちの物語をもう一度、世に出せたら良いなと思っております。

たまに思い出すくらいでもいいので、『ららマジ』という作品を忘れずにいてもらえますと幸いです。


スマートフォン向けゲーム「ららマジ」は
魅力的なキャラクターと、クオリティの高いストーリーと音楽、そしてバトルが魅力の作品であり
それが表現できるのは"ゲーム"という形でしか難しいのが現実でしょう

でも違う形になったとしても、チューナーと部員たちのこの先の物語を見ることが出来るのであれば
それほど嬉しいことはありません。


まだ"調律"を待っている部員たち、様々なキャラクターの謎と世界の真相、そして器楽部の未来。

未だ見ぬその物語をいつか見ることが出来る日を、待っています。



「ららマジ」最後のイベントのタイトルは「また明日」でした。

さよならじゃなくて、また明日
いい言葉ですね。


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(C)WFS / (C)CloverWorks


ららマジ公式サイト

未来Symphony - iTunes

ららマジ オリジナルサウンドトラック - Spotify