「NHKプラス」はNHKだからこそ最大限活かせる情報ツール
2020年3月1日に試験サービスが始まった「NHKプラス」、
まさに理想としていたテレビ配信サービスだったので開始日をずっと待っていました。
1日は午前7時から配信スタートでしたが
実はID登録そのものは日付が変わったときから開始していたので早速登録。
この時はメールも数十秒以内に受信してすぐに登録作業が完了しましたが、
サービス開始当日は昼頃から一時的にID登録が殺到して一時停止するトラブルもあったようです。
1日から現在まで、配信サービス自体は止まること無く安定しています。
NHKプラスとは何か
まず「NHKプラス」について簡単に言うと、
NHKの総合とEテレを対象に
放送同時配信(サイマル配信)と一週間の見逃し配信が利用できるサービス
地上波の受信契約に付随するサービスという位置づけなので
ちゃんと受信料契約をしている家庭なら追加料金は不要。
ただしID登録をしなくてもサイマル配信に限っては全く利用できないわけではなく
NHKのBS放送と同様にメッセージが表示された状態で視聴そのものは出来るようになっています。
とは言え、最も便利な見逃し配信は登録必須なので
大人しくID登録しておいたほうが良いでしょう。
NHKプラスIDの登録
「NHKプラス」を利用するには原則ID登録が必要になります。
NHKプラスのIDは「NHKプラスID」と呼ばれ
サービス利用者は新たに作成する必要がありますが
他のウェブサービスで会員登録をしたことある人ならすぐに終わります。
他のサービスと違う部分としては
先述の通り「NHKプラス」は地上波契約の付随サービスという位置づけにあるために
本当に地上波の契約をしている家庭かを確認する作業が発生します。
これは1~3週間ほどで届くらしいハガキの確認コードを入力することで完了します。
確認コードが届く前でも、ID登録が完了した時点で
映像にオーバーレイして表示されるメッセージも消えるし、
見逃し配信も利用出来ますが
おそらく一定期間しても確認コードが入力されないと再びメッセージが表示される仕様のようです。
ハガキが届くまで1~3週間とアバウトすぎる上に長過ぎるのは正直ちょっと気になりますが
届くハガキの存在を忘れずに確認コードを入力しましょう。
NHKプラスを使ってみて
今回サービスを利用した環境はAndroid、iOS、Windowsで
WindowsではブラウザにChromeを使用しました。
結果としてはどれも快適に利用できました。
公式サイトでアピールされているようにアプリを利用すると"スムーズな操作"で使用できますが
別にブラウザでも操作性が著しく落ちるとは思いませんでした。
スマートフォンで利用する場合は
アプリのサイズもそこまで大きくないので何も考えずにアプリを入れておくのが基本で良いと思いますが
どうしてもスマートフォンの保存容量が足りない!と言う方は
「NHKプラス」のサイトをブックマークしておいてブラウザでアクセスする利用法でも十分です。
まずサイマル配信を使ってみて最初に確認したのが
実際に電波で放送されている番組と配信とのディレイ(遅れ)はどれくらいか。
手元で計測してみたところ約30秒でした。
1月の下旬頃に民放各局が夕方の時間帯のみ5日間のサイマル配信を「TVer」で実施した時は
放送局によって多少は違ったもののディレイは20秒から30秒程度だったので同等と考えて良さそうですが
ユーザーとして見ると10秒くらいまで短くなると嬉しいですね。今後の技術革新に期待しましょう。
映像配信自体は普通に使えて、普通に良いです。
それでも、これは良い!と思った部分は
音声多重放送や字幕放送に対応しているところ。
特に字幕放送では画面上に表示するテレビと同じスタイルの他に
映像の下の枠外に表示するスタイルも選べるところが素晴らしい。
音声多重放送と字幕が使えることにより
テレビで見るのとほぼ変わらない視聴体験が出来ます。
次に見逃し配信ですが
これは過去7日間の番組を対象に期間中は何度でも視聴することが出来るものです。
radikoの見逃し配信のように、
一度再生したら期間内であっても24時間後には聴けなくなるといった制限も無し、期間中に何度でも見放題です。
この制限の少ない見逃し配信は
まさにNHKの番組にぴったりなサービスだと感じました。
NHKでは民放の番組にはない、NHKスペシャルのような特集やドキュメント72時間といった変わった番組、
1日に何度も放送される5分や10分程度の
短いニュース番組(変なコメンテーターが居ないのが良い)などクオリティ高めの番組が多いんです。
これまでは気になる特集があっても放送後に気付いたり、
気付いたら5分番組が終わっていたり、録画するほどじゃないけど見たかった番組などが個人的に多かったのですが
それが「NHKプラス」の登場で一気に解決。
通勤中に朝ドラを見て、昼休みに5分のNHKニュースで最新のニュースも映像と音声で気軽に把握、
就寝前にブラタモリ*1を見て、先週うっかり見逃した大河ドラマもスマホで視聴、週末はゆったりNHKスペシャルを見る。
…なんて生活が何も考えずに可能になります。
さらには子育て中の人の強い味方、何度もお世話になった人は多いはず、
Eテレの子供向け番組「おかあさんといっしょ」も「NHKプラス」があればいつでもどこでも再生可能なのは
家でも外でも子育てに追われている親御さんにとってかなり強力。
よく子供は今の(番組)もう1回見たい!と言い出しますが
これまでは録画してないから無理なの!となっていたところ、これからはそのリクエストにも対応可能です。
ゆっくり見たい高品質な特集番組、短い時間で情報を把握出来るNHKニュース、子育ての強い味方Eテレ、
これらの番組、コンテンツが既に揃っているNHKの特徴が
これからの時代は大きな武器になることを改めて気付かされました。
スマホでもPCでも同時配信と見逃し配信がセットで利用できる「NHKプラス」の登場によって
テレビ番組との距離感、付き合い方が一気に変わりそうです。
テレビ局にとっても、
テレビ放送は放送時間が決まっていて最近は面倒で見なくなったと言う視聴者に
再び近づける一発逆転の武器にもなることでしょう。
現時点での今後解消して欲しい不満点としては
スマートフォンのアプリで視聴時にマルチウィンドウに対応していないところと
ブラウザで視聴すると翌日にはログアウトしていて若干面倒なところ。
あとは先程も書いたようにディレイをもう少し短く、
現在は南関東エリアの番組を全国配信するのみですが
その他の地域の番組の配信への対応、くらいでしょうか。
今後の改善を期待します。
3月1日から始まったのは「NHKプラス」の試験サービスで
本サービスは4月1日から開始となります。
民放各局などの横槍により当初計画していた24時間配信は現時点では実現せず、
6時から24時までの時間を限定した配信(試験機関は7時から24時)となりましたが
民放に先行してかなりレベルの高いサービスを開始したNHK、
この「NHKプラス」を見て、民放各局は今後どう対抗していくのでしょうか。
今年度中にはTVerでの実験配信を再び行う方向のようですが
正式サービスの開始時期や機能は何も示されておらず
大幅な出遅れは確実なだけに「NHKプラス」以上のサービスが自然と要求される事になります。
ようやく長らく停滞していたテレビとネットの融合は
NHKプラスの登場から次のステージへ進むことになりそうです。